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「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」について

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「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」が2017年3月16日に施行されました。

 

この法律は一人親方問題への足掛かりとなる、

公共工事、民間工事問わず “建設工事に携わる方、全てに対しての安全と健康を確保する” という法律です。

 

これまでガイドラインに留まっていた、

■保険料等必要経費の適切かつ明確な支払い

■健康・安全に配慮した建設工事の安全な実施(工期の見直しなど)

などが 法律の基本施策 となりました。

 

建設業界では、労働災害の死亡者数が平成27年に327名に上り、

企業の社員、一人親方と働き方に限らず、大きな問題となっています。

 

この法律の施行により、建設業の安全性や健康確保を目指し、

労働環境を改善する事で、人材減少が続いている建設業への改善の一手となり得ることでしょう。

 

一人親方の働き方

 

「一人親方」は企業に雇われる形ではなく、

一人で会社を経営し、発注先と契約をするような働き方です。

 

労働者が雇用契約に基いて働いている事に対して、

「一人親方」は請負契約に基いて働いています。

 

労働者は労働時間に対する報酬が与えられますが、

「一人親方」は仕事の完成をもって報酬が与えられます。

 

つまり、大雨などで請け負った工事が予定通りに終わらず働き続けたとしても、

残業代が支払われないという事になります。

また一人親方に対しては有給休暇や休日を与える義務も発生しない為、

労働環境としてはかなり厳しいものと言えるでしょう。

 

万が一仕事中に大怪我を負ってしまったとしても、発注先は補償してくれません。

事業主である以上、自分で労災に入ってなければ誰も補償してくれないという事になります。

 

 

一人親方のリスク例

 

「一人親方」については、労災保険では保険の対象に含まれません。

 

労災保険は事業所の従業員など、

労働者の業務や通勤の際に起こる災害に対する補償になるからです。

 

その為、「一人親方」に対しては、労災保険の特別加入制度というものが用意されています。

もしこの特別加入制度に加入していなかったら…という例をご紹介します。

 

 

「下請けである一人親方が工事中に被災した場合」

 

 

この場合、被災された一人親方は元請企業からの労災保険給付を受けることは出来ません。

一人親方は労災保険上、事業主であるからです。

 

しかし、労働者でなくてもその業務の実状などをみて、

労働者のように保護することが適切な場合、特別に任意加入することが認められています。

 

これが「労災保険の特別加入制度」です。

 

ご自身の身を守る為に、そして一人親方を守るために、

特別加入をする、また依頼主はその方が特別加入しているかを確認してください。

 

※参照元:一人親方建設業共済会

https://oyakata.jp/qa/qa6.html

こちらにわかりやすい事例が掲載されています。

 

 

この法案の影響

 

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本法案の可決に伴い、非常に期待が高いのは、国が建設業界の労働問題に介入するという事です。

今までは社会保険等に適正に加入しない企業が数多く存在していました。

 

建設工事の競争激化により、

固定費である労災保険を含む社会保険の費用が、請け負った金額の中では十分に確保されず、

特に「一人親方」は収入が不安定という事もあり、加入が促進されていませんでした。

 

各建設企業では、見積段階で社会保険相当額の費用を計算し、

内訳を明示した「標準見積書」を用いる事によって、

必要経費を確保するような取り組みも行われております。

 

新法が施行された今、

発注先に建設業の働き方や社会保険に未加入の現状を知ってもらう事も重要です。

工事に関わる方々の、社会保険相当額の費用が盛り込まれた予定価格の設定、

受発注が必要な事は言うまでもありません。

 

国、各都道府県が今後この法案に対しどのような具体的計画を策定するか注目です。

2017年4月21日投稿